07 Apr 2005 感染症 その11
マイコプラズマ肺炎
 

マイコプラズマ肺炎

今回は小児期から若年成人期に多いマイコプラズマ肺炎のお話です。

高熱を訴えた後、ひどい咳をして、胸が痛いといった症状があったらこの肺炎も疑わなければいけません。日本での調査では、秋から春にかけて発症数が多くなり、かかりやすい年齢は幼児期、学童期、青年期が中心です。だいたい3歳から20歳台後半ぐらいまでが多いようです。日本では従来4年周期でオリンピックのある年に流行を繰り返してきましたたが、近年この傾向は崩れつつあり、毎年同じような数の患者さんが出ています。

原因となるのは肺炎マイコプラズマ(MycoplasmaPneumoniae)と言って、自己増殖可能な最小の微生物で、生物学的には細菌に分類されています。しかし、他の細菌とは構造が異なり、ペニシリン系、セフェム系などの使用頻度の多い抗生物質が無効だという点が特徴的です。

感染様式は患者からの飛沫感染と接触感染によりますが、濃厚接触が必要と考えられており、地域での感染拡大の速度は遅いようです。つまり、学校や会社などでの短時間での接触による感染拡大の可能性は低く、家族や友人間での濃厚接触によるものが重要とされています。また患者さんからマイコプラズマが咳や痰にに排出される期間は約1ヶ月ぐらいと考えられ、他の人に感染させる可能性のある期間が非常に長い印象を受けます。さらに感染発症後、マイコプラズマに対する免疫(抗体産生)ができますが、生涯続くものではなく徐々に減っていってしまい、再感染もよく見られます。

潜伏期は2〜3週間で、初めの症状は高熱、全身倦怠感、頭痛などです。咳は発症後3〜5日から始まることが多く、当初は空咳ですが、経過に従い咳は徐々に強くなり、解熱後も長く続きます(3〜4週間)。後期には湿った咳となります。鼻水などの鼻症状は典型的ではありませんが、幼児ではより頻繁に見られます。喘息様気管支炎を呈することも比較的多く、急性期には約40%の患者さんで喘鳴(笛の音のような呼吸音)が認められます。昔から「異型肺炎」として、肺炎にしては元気で一般状態も悪くないことが特徴であるとされてきたのですが、重症肺炎となることもあり、胸水が貯まることも珍しくありません。診断には胸部X線検査が欠かせません。胸の音に異常がなくともX線写真で肺炎像が認められることもあります。さらに確定診断には、血液検査でマイコプラズマに対する抗体検出も可能です。

治療上、ペニシリン系やセフェム系などの効果がなく、マクロライド系やテトラサイクリン系を第一選択とします。特異的な予防方法はなく、流行期には手洗い、うがいなどの一般的な予防方法の励行と、患者さんとの濃厚な接触を避けることしかありません。学校、幼稚園への登校登園については、急性期が過ぎて症状が改善し、全身状態の良い場合は登校可能となります。これは流行阻止の目的というよりも、患者さん本人の状態によって判断すべきであると考えられます。

永山 憲市

 

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