05 May 2005 胃腸疾患 その12
内痔核
 

内痔核

最近、クリニックに痔のことでご相談あるいは治療を求めておいでになる方が多くなっています。過去に痔疾についてご説明したことがありますが、再度、痔(痔疾・痔核)についてほりさげてお話させていただきます。痔疾は内痔と外痔に分けられますが、今回は特に内痔(内痔核)についてです。

内痔(内痔核)は痛みのない出血と脱出が主な症状です。初期の段階では違和感、異物感、閉塞感などを感じることもあります。脱出を繰り返すと裂肛(随伴裂肛)を伴うことがあり、強い痛みが生じてきます。内痔核は脱出の程度から以下の4段階に分類されます。

 1度:肛門の中でふくれているが脱出することはないもの。

 2度:排便時に脱出するものの排便が終わると自然に戻るもの。

 3度:排便時に脱出し指で戻さなければならないもの。

 4度:入れてもすぐ脱出し、戻らないもの(脱肛)。

痔核の中には、肛門内の皮膚と直腸粘膜の接合部付近にある静脈叢(静脈の塊)が発達し、うっ血して大きく膨れ脱出するタイプと、粘膜が緩んでスライドするように脱出するタイプがあります。痔核は決して自然には消失しません。消長を繰り返しつつ、徐々に悪化していきます。痔核の原因ですが、昔は、いきみなどで静脈叢(痔核組織)が繰り返しうっ血して増大し、脱出するようになると考えられていましたが、最近では、支持組織の緩みが起きるのが始まりで、それにより静脈還流が悪化して、痔核が増大すると言われるようになってきました。

治療についてですが、1〜2度は軟膏や坐薬などで治療します。しかし、3度以上や2度でも出血が多い場合や痛みが強い場合は、手術治療が最善の方法です。その他、硬化療法やゴム輪結紮法も行われますが、再度痔核の出現を認めることも少なくありません。

手術治療の現在の主流は結紮切除術と言います。痔核のあるところだけを切除するのです。肛門の縁よりすこし離して皮膚を切開し、静脈叢を剥がしとり、痔核を栄養している動脈を結紮し確実に止血し、痔核組織を切りとります。切除後は、そのまま縫合しない方法(開放術式)と奥の半分だけ縫合する方法(半閉鎖法)がありますが、便で汚染される場所であるため、化膿させない工夫をがなされます。1箇所のみの痔核で、巨大なものではなく、肛門の狭窄や激しい痛みがなれば、日帰り手術も可能です。数箇所に認める場合や巨大なもの、肛門が狭い、痛みを伴っている場合などは、入院治療が望ましいです。手術時間は20〜30分程度です。術後の痛みはそれほど強くありませんが出た場合は鎮痛剤を頓用で内服していただければ、おさまります。
手術翌日から食事は普通食を食べることができます。大体の例で下剤を使いつつ、排
便をしながら治していきます。入院期間は、シンガポールでは基本的には2〜3日間ほどですが、手術の程度で前後します。

永山 憲市

 

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