14 Jul 2005 医療コラム(Dr 永山) その16
バリ島帰りの日本人観光客におけるコレラの集団発生
 

バリ島帰りの日本人観光客におけるコレラの集団発生

今回は、夏休みの旅行シーズンを前にシンガポール在住の皆様に是非知っておいていただきたい内容です。平成17年5月、国立感染症研究所にコレラ症例が7名報告されました。これらの症例は全て、発病前にインドネシアに渡航していたことから、インドネシアで同一感染源に曝露されたことによる集団発生の可能性を考え、国立感染症研究所が個別に症例の調査を開始しました。

今回の対象はインドネシアを推定感染国とする8名でした。報告は5都道府県からなされ、2名が同一グループであったが、他の6名はそれぞれ別々のグループでした。
性別は男性7名、女性1名で、年齢の平均は44歳(範囲32〜65歳)でした。
状は下痢7名(うち水様性下痢4名)、嘔吐2名、脱水症による腎不全1名でした。
また、無症状病原体保有者(コレラ保菌者)が1例認められました。
追跡調査では8例すべてが宿泊地にバリ島クタビーチを含み、内訳はバリ島クタビーチのみが5名、バリ島クタビーチおよびジャワ島ジョグジャカルタ市の両方が3名でした。さらに重要なことは、これら8名はいずれも、バリ島クタビーチでは同一ホテルに宿泊していたのです。今回の症例8名のうち7名は、5月1〜7日の間のいずれかの日にバリ島に宿泊しており、特に5月3〜4日には7名とも宿泊していました。
一方、残り
1名はそれ以外の7名と宿泊期間が重なっていませんでした。発病日と宿泊日との関係についてみると、症状があった7名全員が発病の3日以内にバリ島に宿泊していました。コレラに感染する可能性のあるリスク行動については、生野菜を食べた者が6名、ホテルのプールで泳いだ者が5名、屋台の食べ物を食べた者が3名、氷を食べた者が3名(このうち、ミネラルウォーターで作った氷を食べた1名を含む)、果物を皮付きのまま食べた者が1名でした。

コレラの潜伏期間は通常2〜3日、最長で5日間とされています。今回の8名のうち症状のなかった1名を除き、7名全員が発病の3日以内にバリ島の同一ホテルに宿泊していることから、このホテルでの宿泊が感染源への曝露と関連している可能性が高いと考えられます。また1名は他の7名と宿泊日が全く重ならなかったことから、感染源はほんの一時的でなく、少なくともこの期間は継続していた可能性が考えられます。

シンガポールに在住する我々は、非常に安全で衛生的な環境に生活しているのですが、一歩シンガポール国外に出ると、残念ながら上記のようなことに遭遇してしまうのが現実です。上記のリスク行動の内容をご覧になり、ご旅行時には十分ご注意いただきたいと思います。

永山 憲市

 

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