25 Aug 2005 胃腸疾患 その14
B型肝炎
 

B型肝炎

B型肝炎の原因ウイルスであるB型肝炎ウイルス(HBV)感染者の分布には世界的に大きな地域差があって、東南アジアやアフリカでは感染者率が10%を上回る国もあり、保健医療上の課題となっています。これに対して、日本、ヨーロッパ、北米などは感染頻度2%以下の低頻度国です。HBV感染は主に、輸血、不適切な医療行為(不潔な針の使用)などによる経皮的感染と、性交渉、分娩時の経粘膜感染によると考えられています。HBVの持続感染(慢性化)は出生時または乳幼児期の感染によって成立し、成人期初感染(急性肝炎)では、慢性化することは非常にまれです。幼児期に慢性化した場合、大部分は肝機能正常なキャリアとして経過し、その後免疫能が発達するに従い、肝炎を発症します。そのうちの約90%は最終的に肝機能正常の無症候性キャリアへ移行するのですが、残り10%が慢性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌)へ移行します。急性感染の場合、約2%が劇症肝炎を発症し、致死率は約70%とされているため注意が必要です。

急性B型肝炎はA型肝炎に比較してゆっくり、若干軽い病状で発症します。微熱程度の発熱、食欲不振、全身倦怠感、嘔吐などの症状がみられ、引き続き黄疸が認められるようになります。黄疸が出現するのは成人例で30〜50%、小児例では10%以下です。重症例を除いて、これらの症状は1カ月程度で回復しHBVは生体から排除され、キャリア化することはありません。しかし、免疫能の不十分な乳幼児などの感染では、キャリアへ移行することがあります。

急性B型肝炎は本来、自然治癒する傾向が強い疾患ですが、常に劇症化への移行の可能性があり注意が必要です。急性B型肝炎の経過は、重症化、劇症化しなければきわめて良好ですが、劇症化した場合には血漿交換、人工肝補助療法、生体肝移植などの治療が必要となります。HBV感染の予防は感染経路を遮断することであり、予防には輸血用血液および血液製剤のウイルス検査、ワクチン接種が有効です。現在我々ができうる最良の予防法はB型肝炎ワクチン接種と言えます。

永山 憲市

 

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