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ノロウイルスによる感染性胃腸炎
ここシンガポールでは嘔吐・下痢を主な症状とする感染性胃腸炎が年中見られます。(日本では冬場が多く、昨冬では集団発生が非常に多く高齢者を中心に死者も出ました。)よく見られるのは、ノロウイルスに汚染された生ガキを食べ、ノロウイルスによって胃腸炎を起こす場合です。ノロウイルスは熱に弱いためよく加熱すれば感染力はなくなるのですが、生ガキをそのまま食べるような場合は注意する必要があります。ボランティアを用いた実験では、60度の温度で30分の加熱でも感染力は残ることが知られています。ぐつぐつと、よく煮立てることが大切です。一方、ノロウイルスは低温に強く、ノロウイルスに汚染された水や氷が感染源になることもあります。
ノロウイルスに汚染された井戸の水で作った氷により起こった集団発生例があるぐらいです。
ノロウイルスによる胃腸炎では、このウイルスに汚染された食物や水を摂取してから12―48時間後に発病し、症状は2〜3日持続します。但し、少ないですが、症状が2週間以上続く場合もあります。ノロウイルスについては、10―100個のウイルス粒子という少ないウイルス量でも摂取すれば発病しうるとされています。ノロウイルスによる胃腸炎の症状は、嘔気・嘔吐・下痢・差し込むような上腹部痛です。こどもでは嘔吐が、大人では下痢がよく見られます。集団発生の場合、発病者の半数以上で嘔吐が見られるとされます。脱水がひどいと点滴が必要になる場合もあります。
頭痛や高熱が出ることもあります。しかし、長期にわたる深刻な影響を残すこともなく、2、3日で通常は軽快します。
ノロウイルスに感染した人の便の中にはノロウイルスが出てきます。ノロウイルスは人の体外でも安定で、下水などを通して海水中に流れ込み、海水中の貝類が、水の中に拡散したウイルスを電気掃除機のように吸い集めてしまうのです。このような貝を生で食べるのは危険が高く、ノロウイルス以外の病原体ウイルス例えばA型肝炎ウイルスを貝が吸い集めてしまう可能性もあるのです。上記のように生の貝、特にカキ、はまぐり、トリ貝などが胃腸炎と関係している例が多いのです。これらの貝を生あるいは加熱不十分で食べるのは控えた方が良く、よく加熱してから食べるべきです。
ノロウイルスはヒトからヒトへの感染もありえます。これは患者さんの嘔吐物や便の中のウイルスが感染源となるからです。特に家庭内では、症状が消えてからも2、3日後までは家族内での感染がよく見られます。トイレの後、料理の前、食事の前には、必ず石鹸で手をよく洗うことが予防のために重要です。
永山 憲市 |