20 Oct 2005 胃腸疾患 その15
C型肝炎
 

C型肝炎

今回は肝炎シリーズの最後で、C型肝炎についてです。C型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)による感染症で、現在日本では150万人以上、全世界では約1.7億人もの感染者が存在すると推定されています。HCVは感染後、持続感染により慢性肝炎をひき起こすことがあり、さらに肝硬変、肝癌へと進行することがあるので、公衆衛生上最も重要な病原ウイルスのひとつと考えられています。

HCVの感染経路としては、感染血液の輸血、経静脈的薬物乱用、入れ墨、不適切な針治療などが考えられますが、感染経路を明確に証明することは困難な状況です。日本国内のC型肝炎患者のうち、輸血歴を有するものは3〜5割程度ですが、現行の検査システム実施下では、輸血その他の血液製剤による新たなC型肝炎の発生は限りなくゼロに近いと考えていいと思います。

C型肝炎はHCV感染に伴って急性肝炎からほとんどが気づかないうちにそのまま慢性肝炎へ移行する例がほとんどで、血液検査で初めて肝機能異常を指摘されるケースも多く、10〜16%の症例は初感染から平均20年の経過で肝硬変に移行します。
肝硬変の例では、年率5%以上と高率に肝癌を発症すると考えられ、40歳のC型肝
炎患者を70歳まで適切な治療を行わずに放置した場合、20〜25%が肝細胞癌に進展すると予測されます。肝癌死亡総数は年間3万人を越え、いまだに増加傾向にありますが、その約8割がC型肝炎を伴っていると思われます。

C型肝炎の診断には血清抗体検出とHCV遺伝子検出の2種類があります。一般的には、初めにHCV抗体検査が行われます。この抗体検査で陽性となった場合、HCV遺伝子検出を行い、感染確認と病気の活動性(ウイルス量測定による)を把握します

C型肝炎の治療は、病気の活動度や進行状態によって方法や効果が異なるため、治療薬や治療方針の選択については専門医による判断が必要です。最も有効性が確立している抗HCVンターフェロン(IFN)の単独投与に加え、リバビリン(抗ウイルス薬)との併用療法によりIFN療法の選択肢は広がりました。一般に、IFNによってHCVが排除されるのは30%リバビリンとの併用療法の場合で約40%といわれています。しかしながら、IFN療法でウイルスを排除できなかった場合でも、肝炎の進行を遅らせ、肝癌の発生を抑制、遅延させる効果が示されています。また、IFN、リバビリン投与が無効で、肝機能障害が強く出た場合には、抗炎症療法(肝庇護療法)によって肝細胞の損傷や肝臓の繊維化を抑えることで、肝炎の進行を防ぐ治療が行われます。

予防法として最も有効と思われるC型肝炎ワクチンは、まだ実用化されていません。HCV(ヒト)の免疫監視機構から逃れ、高率に持続感染が成立するものと考えられていますが、そのような逃れるシステムを我々がまだ解明できていないのです。

永山  憲市

 

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