29 Dec 2005 医療コラム(Dr 大西) その19
痰について
 

痰について

風邪をひいたときに痰がつまるとか、痰が出るといった経験は誰もがあると思います。病院を受診すると「どんな痰が出ますか」などと質問を受けるでしょう。今回は痰についてお話しします。

気道(気管、気管支など肺の中の空気の通り道)では上皮細胞の杯細胞と気管支腺細胞から粘液が分泌され、健常者でも1日80〜100mlの分泌があります。その約90%は水分でできています。そして気道粘膜には線毛があり、これによって粘液は喉まで運ばれ、無意識のうちに食道に飲み込まれます。

ほこりや細菌などが気道に侵入すると、粘液が過剰に分泌され、それら異物をくるんで排出します。これを痰と呼びます。痰には他に気道粘膜上に集まった白血球を中心とする炎症細胞や酵素も含まれています。痰には気道の異物を除去するという働きがあり、一概に悪いものとはいえません。

気道粘膜に強い炎症が加わると、ときに線毛の働きも障害され、気道内に痰が溜まります。これが気道を刺激し咳によって排出されます。痰には様々な種類があり、漿液性、粘液性、粘液膿性、膿性、血性(血痰)に分類されます。漿液性痰はさらさら、透明で粘り気がないものを言います。肺・気管支毛細管の透過性亢進を意味し、ウイルス感染など気道粘膜に炎症があるときなどに見られます。粘液性痰は白色で粘り気のある痰で、喫煙者などでよくみられます。粘液膿性痰や膿性痰は細菌感染などによる気道炎症の際に見られます。血性痰(血痰)は気道・肺からの出血の存在を示すもので、気管支拡張症、結核や肺がんなどが原因として疑われます。

このように痰の性状(さらさら、ねばねば、どろどろ)や、色(透明、白色、黄色、褐色、緑色、さび色、血液など)、痰の量によって病態がわかります。痰が出るときには、いったいどんな痰なのかよく観察するようにしましょう。

大西 洋一

 

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