10 July 2003 胃腸疾患 その1
ヘリコバクター・ピロリと胃・十二指腸潰瘍
 

ヘリコバクター・ピロリと胃・十二指腸潰瘍

今回の話題はヘリコバクター・ピロリです。(以下ピロリ菌とします)ピロリ菌は人間の胃の中に住んでいる細菌です。1980年代に発見されましたが、この菌が胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因となっているということが、近年明らかになってきています。ピロリ菌は胃の粘膜を好んで住みつき、粘液の下にもぐりこんで胃酸から逃れています。また、十二指腸の粘膜が胃と同じような粘膜に置き換わってしまった場所(胃酸から十二指腸を守るためにこのような変化をする場合があります)では、ピロリ菌が住みつくこともあります。

胃の酸度はpH1.0〜2.0です。ピロリ菌が活動するのに最適なpHは6.0〜7.0で、4.0以下では、ピロリ菌は生きられません。ではなぜピロリ菌は胃の中で生きられるのでしょうか?秘密はピロリ菌の持つウレアーゼという酵素です。この酵素によって胃の中の尿素という物質からアンモニアを作り出すのです。アンモニアはアルカリ性です。このアンモニアが胃酸を中和するのです。そのようにしてピロリ菌は自分の周りに中性に近い環境を自分で作り出すことができるので、強酸性の胃の中でも生きていられるのです。

ピロリ菌の感染率(人口の何%の人が感染しているか)は国によってずいぶん違います。大まかに言えば、発展途上国で高く、先進国で低くなっています。特に上下水道の普及率の悪い所で高いとされています。

口から入って感染することは間違いないようですが、以下のような感染経路があげられています。

口−口感染(歯垢や唾液からピロリ菌が検出された。)
糞−口感染(糞便からピロリ菌が検出された。)
飲料水からの感染(日本国外で水道水からピロリ菌が検出されたことがある。)

胃潰瘍・十二指腸潰瘍については、ついに日本でも2000年11月より、ピロリ菌の除菌療法が保険で認められるようになりました。(アメリカ、イギリス、フランスなど海外などずいぶん前から認められていた国もあります。)

ピロリ菌の除菌に成功すると、

何度も再発を繰り返していた潰瘍の再発が抑えられる。
維持療法
潰瘍が治った後も、再発予防のために薬を飲み続けること。)が必要なくなる。

などの効果があります。ただし、除菌の治療は中途半端でやめたりすると、ピロリ菌が薬に対して耐性をもち、次に除菌しようと思っても薬が効かなくなるおそれがありますので、必ず医師の指示通りに薬を飲むことが必要です。また、除菌治療は1週間ほどで終わりますが、その後も潰瘍の治療は一定の期間必要になることがあります。

「最近、胃の調子がおかしい。」、「お腹がすいた時やご飯を食べた後に胃が痛む。」などの症状がある場合は、「ほっときゃ治るさ。」と考えずに一度医師にご相談された方がいいでしょう。

永山 憲市

 

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