ラッフルズ ジャパニーズクリニック
 
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25 Jun 2006 医療コラム(Dr 大西) その21
東洋医学(漢方)について
 

東洋医学(漢方)について

よく患者さんから東洋医学(漢方)についての相談を受けることがあります。多くの場合は、西洋医学から見て東洋医学は信用できるものなのかといった内容のものです。しかしながら西洋医学と東洋医学はその概念自体が大きく異なり、一方の概念でもう一方を評価することはあまり意味がないと思います。

西洋医学の場合、正常値という共通性を重視したうえで、人間全体よりも病んでいる臓
器や組織単位で検査をし、その結果に基づいて病状を客観的に分析します。人間を同一のタイプであるとみなし、細かな検査結果から異常のある場所を見つけ、病名を決めて、一定の確率でその病気に対して効果のあった治療方法や、薬の処方等を採用します。西洋医学は科学的根拠にのっとって確立されたものです。そういった意味で、西洋医学は統計学とも言えるでしょう。診断に従い、目的のはっきりとした治療が行われます。

一方の東洋医学では全身の不調和を整えるための治療法の判定に重きをおき、患者さんの個人差を重視して体質的なものや基礎体力の低下による肉体的精神的症状を見極め、治療を行います。同じ病気でも患者さんの状態によって薬は違いますし、ひとつの薬がいろいろな病気に応用されることもあります。
東洋医学は「随証治療」といいますが、「証」とは、頭痛、下痢といった個々の症状を表す言葉ではなく、患者さんが現わす種々の症状を総合的に観察した上で、その病状を
陰陽、虚実、気血水、五臓など総合的に捕らえた診断であり、その病人にはどんな薬方
を与えれば治癒するかを判断するものです。その人の体質や体力、病気に対する抵抗力を「虚実」で表します。同じような症状でも虚実が違えば薬も変わります。「気」というのは病気の気、元気の気のように精神的な部分やエネルギーのようなものです。「血」は主に血液の循環を指します。「水」は血液以外の体液の流れと関係します。病気はこの三つが影響しあって起こると考えられています。東洋医学では病気は全身の体内バランス(自然治癒カ、免疫力)が崩れ、異常を起こしていると考えられ、また、たとえ「西洋医学的な病気」がなくても体内バランスの乱れがあれば治療を行います。漢方は乱れた体のバランスを回復させる効果を期待するものです。

少々乱暴ではありますが、それぞれを一言で表すと、西洋医学は病気をみますが、東洋医学は病人をみると言えるでしょう。西洋医学も漢方もそれぞれ得意・不得意があります。
そこで、以前より東洋医学の治療(主に漢方)の良いところを西洋医学の弱い部分に取り入れる試みがなされています。漢方薬を薬理学的に分析し、薬効が客観的に証明されたものに関しては製剤化されて西洋医学でも使用されています。胃薬や風邪薬、抗がん剤まで様々なものがあります。
従来より漢方薬は生薬を用いているわけですが、生薬はカビたり虫がついたり変質しや
すいし、煎じて服用しなければならないなど、管理、扱いが面倒です。また、同じ漢方
薬でも、生薬の産地によって品質にムラがあるなどの問題もあります。
有効成分をパックしたエキス剤(医療用漢方製剤)であれば、管理も楽で一定の品質が
保たれます。お湯やお水に溶いてそのまま服用できるなど便利です。西洋薬と同じ感覚
で服用できます。

よく漢方は副作用がないと誤解をしている方がいらっしゃいますが、漢方薬も薬です。
薬効があるということは、使い方を間違えたり、たとえ正しく使っても時に思わぬ副作
用を招く可能性があります。その人の体質、病期、病態に応じた薬が選べないと好まし
くない症状が出ることもありますし、漢方薬にアレルギーを持っていたり、西洋薬との
飲み合せに問題を生じることもあります。そういったことを避けるためにもきちんと医
師の診察を受けて服用するようにしましょう。

医師 大西 洋一

 

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