07 Aug 2003 医療コラム(Dr 大西) その3
近視について(前編)
 

近視について

テレビを見過ぎたり、暗いところで本を読むと近視になる。早くに眼鏡を使うようになると、よけいに近視が進む。眼鏡をかけたり、とったりしていると、よけいに近視が進む。近視には治療法がある。世間で一般的に言われていることですが、さて、このうち正しいのはどれでしょう。答えはすべて誤りです。

まず、近視とは、はるか遠くから来た平行光線が、無調節状態の眼において、網膜より前に結像する屈折状態と説明されます。

一口に近視といっても2通りがあります。

<屈折性近視>眼の奥行き(眼軸)が正常で、水晶体の屈折力が強すぎて、網膜の手前に焦点を結ぶ状態です。このうち、毛様体筋の一過性の緊張で屈折度が増大している状態を俗に仮性近視と呼びます。 

軸性近視眼の奥行き(眼軸)が長すぎて、網膜の手前に焦点を結ぶ状態です。近視の大多数はこの軸性近視です。

近視だと、近くのものは見えますが、遠くのものはぼやけて見えます。近視でも眼前のどこかに焦点の合う位置が必ずあります。強い近視だと眼前数センチになる場合がありますが、概ね近方視は良好です。 したがって一概に「近眼=目が悪い」と表現されるのは正しくありません。悪いのはあくまで「遠見視力」だけです。

ではなぜ近視になるのでしょうか。人間の目は生まれたときには眼軸が短く遠視です。それが成長と共に伸びて、3歳ぐらいに完成します。このとき眼軸が伸びすぎると近視になるのです。その原因として認められているのは唯一遺伝で、いわば生物学的バリエーションとして生じるものなのです。日本人の場合半数以上が近視ですが、これは民族的におこる個体差です。

そうすると、何故ある人は小学生で視力が低下し、またある人は高校生で視力が低下するのかという疑問があるかと思います。そこには毛様体筋による調節力が関係しています。子供の目は非常に柔軟で毛様体筋によって水晶体の厚みを変え、眼軸のずれをカバーできます。ですから、本来は近視の目の構造でもそれがマスクされているのです。遅かれ早かれ、成長と共にその柔軟さが失われると目の構造に基づいた本来の視力が出てきます。眼科では、それを確かめるために、毛様体筋の働きを取り除く調節麻痺薬を使ってから視力検査をします。

調節力が働いているうちは視力は維持されます。確かにテレビを長時間見たり、暗いところで本を読んだりして目を酷使すると、その調節力が一時的に低下して、視力が低下する事があります。しかしながらそれは調節力が一時的に低下した状態であって、いわゆる近視とは本来別問題です。

近視は目の構造に起因するものなので、そう考えると薬やトレーニングで治せないことは、おわかりになるかと思います。

それでは、近視についてはどう対処したらいいのでしょう。それは次回にお話しします。

次回近視について後編に続く。

大西 洋一

 

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