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19 Apr 2007 その24(Dr大西)
MMR(麻疹おたふくかぜ風疹混合ワクチン)
 


海外で予防接種を受ける際に、日本では見合わせとなっているMMRを受けるべきかどうか、悩む人も多いかと思います。


MMRによって3種の疾病に対する免疫を与えることは、子供にとって大きな利点であり、世界の趨勢でもあります。(日本以外の先進国はすべて使用している。)アメリカでは1971年に認可を受けてから3種の疾病は著明な減少をみています。1989年からは、さらなる減少を目指して2回接種方式に切り替えています。ここシンガポールでも2回接種が基本です。


ところが日本では1989年に開始されたものの、間もなく無菌性髄膜炎の発症が問題となり1993年には接種見合わせとなり、以後再開されていません。厚生省の統計によるとその発症頻度は1200人にひとりとのことでした。無菌性髄膜炎では接種後20日頃に発熱、嘔吐がみられ、約半数に髄膜刺激症状が現れます。予後は良好で数日で回復に向かい、1−2週間の入院ですみ、髄膜炎に起因した後遺症の報告はありません。


この副反応はMMRのおたふくかぜワクチンが原因です。


おたふくかぜの自然感染では3%に無菌性髄膜炎がみられます。ある調査では自然感染患者のうち、無症状でも3人に1人の割で髄液中よりウイルスが分離されたとのことです。また自然感染では毎年数例の死亡も報告され、難聴や睾丸炎の後遺症も問題となっています。
また、諸外国の報告ではMMRによる無菌性髄膜炎の発生頻度は数万人にひとり以下で、当時日本製MMRでの発生事例は全くありませんでした。日本の統計と外国の統計にこれほどの開きがあるのは、医者の診断基準の差、母親の副反応に対する関心の違い、医療制度の違いなどが言われていますが、本当の理由は不明です。


ただ、当時の日本の調査では、発熱(20%にみられる。)だけで髄膜炎を疑い検査をし、ウイルスが分離されれば(前述のように自然感染では無症状でも3人にひとりは検出される。)、髄膜炎と診断してしまった経緯があります。そのあたりに問題があったのではないでしょうか。


ちなみに、アメリカのワクチンの添付文書では、髄膜炎は全く問題にしていません。


一般に日本では、悪いニュースは大きく取り上げられ、その一方で、いいことはあまり情報に乗りません。物事は必ず両側面から見ないと判断を誤ることもあります。ワクチンには確かに髄膜炎の副反応がありますが、仮に最も多い日本のデータと比較しても、自然感染よりは遙かに少ないし、自然感染ではみられる後遺症も、ワクチンでは報告がありません。


また、原因はおたふくかぜワクチンなのですから、MMRをさけて別々に接種する場合、おたふくかぜワクチンを接種してしまっては同じ事です。


さて、果たしてMMRを接種すべきでしょうか。私個人としては、客観的事実に基づきMMRを選択し、私の娘もMMRを接種しました。ただ、日本方式に重きを置くのもひとつの考え方です。人それぞれ判断の尺度は違うでしょうから、上記のような事実をふまえた上で、個々の価値観で判断すべきと思います。


現在日本ではおたふくかぜワクチンをのぞいたMRワクチンが導入されています。

Q:1歳前に風疹だけ予防接種がすんでいます。残りをMMRで済ますことはできるでしょうか。


A:風疹に限らず、麻疹でもおたふくかぜの場合でも可能です。これらのワクチンは抗体がついている人に接種しても副反応が増強することはありません。また、1歳未満に接種した場合、効果が不十分なことが多く、2歳までの再接種が勧められます。


MMRで済ますかどうかは、先の事実をふまえて決めるといいでしょう。



医師 大西洋一

 

   
 

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