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31 Jan 2008 医療コラム その28(Dr永山)
人格障害(5)
 
今回は人格障害の治療について

個人の人格が形成されるまでには長い年月がかかるように、人格のゆがみを治療するのにもかなりの年月が必要です。人格障害を短期間で治す治療法はありませんが、比較的早く現れる変化もあります。たとえば、薬物療法やストレスを減らすことにより、不安や抑うつなどの症状は軽快してきます。行動の変化は1年以内に生じますが、対人関係の変化には時間がかかります。依存性人格障害の人ではたとえば、「自分で決められない。」という言葉を口にしないようにすることは行動の変化であり、意思決定の責任を持てるようになったり、少なくともある程度は責任を受け入れるようになるという形で人とかかわるようになることが対人関係の変化ということになります。

治療法は人格障害のタイプにより異なりますが、すべての治療に共通する原則がいくつかあります。人格障害の人は自分の行動に問題があるとは思っていないため、状況に適応していない思考や行動が引き起こす有害な結果に本人を直面させる必要があります。それにはまず、本人の思考や行動パターンから生じる望ましくない結果を、心理療法士が繰り返し指摘する必要があります。ときには行動に制限を加えることも必要となります(たとえば、怒って声を張り上げるのを禁じ、普通の声で話させる)。

家族の行動は、本人の問題行動や思考に良くも悪くも影響するため、家族の関与は治療に役立ち、多くの場合不可欠でもあります。大半の治療の基本となるのは心理療法(対話療法)で、不適応行動や対人関係のパターンに何らかの変化がみられるまでには、通常は1年以上は続けなければなりません。医師と患者の間に親密で協力的な信頼関係ができると、患者はそこから自分の悩みの根源を理解し、不適応行動を認識できるようになっていきます。心理療法は、依存、不信、ごう慢、人につけこむといった対人問題の原因となる態度や行動を、本人がより明確に認識するのに役立ちます。

うつ病、神経症、またはパニック障害を合併する人格障害には、薬物療法が適切な治療法となる場合があります。ただし、薬には症状を緩和させるだけの限られた効果しかありません。一方、人格障害から起こる不安や悲しみなどの感情が、薬で十分に軽減されることは難しいようです。特に境界性人格障害の人に薬物療法を行うと、薬の使用方法を誤ったり、自殺を図るといった問題が生じやすいため注意が必要です。

医師 永山 憲市

   
 

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