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麻疹は現在でも小児にとって重大な感染症です。潜伏期は10日で、発熱と倦怠感の後コプリック斑という小さな白斑が口の中の粘膜にできます。更にその後、高熱と共に発疹が全身に出現します。麻疹の問題点はこれらの症状よりも、回復期約1ヶ月の間免疫不全状態が生じて、そのために麻疹自体が重症化したり二次感染で肺炎を引き起こしたりすることにあります。また、2〜3千人に1人の割合で脳炎を起こします。
日本では1978年より弱毒生ワクチンの定期予防接種が開始されました。しかしながら接種率は依然として70%台に留まっており、現在でも年間10人以上の死亡者が出ています。アメリカからは日本は麻疹輸出国だと非難され、麻疹対策の甘さが指摘されていました。
これを受けて2008年4月1日から従来の1歳児の接種(第1期)に加え小学校入学前年度の1年間にあたる児(第2期)にも定期接種が行われることになりました。また麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)があらたに使用されています。加えて、5年間の期限付きで、麻疹と風疹の定期予防接種対象が、第3期(中学1年生相当年齢)、第4期(高校3年生相当年齢)に拡大されています。
予防接種の方法ですが、流行時には1〜4歳児の患者が増加することから、第1期は、通常1歳になってから2歳までに0.5mlを皮下注射します。あまり早く接種すると母体からの移行抗体のため免疫がつきにくいので1歳以降が望ましいのです。しかしながら0〜1歳児が患者の40%を占めているという事情もあり、流行を見た場合には1歳未満でも接種をおすすめします。その場合は1歳以降に再度接種が望ましいでしょう。
予防接種後免疫が上がり始めるには約10日、そして十分な免疫が得られるまでには約1ヶ月かかります。95%以上は十分な免疫が得られ、接種後に自然麻疹に接触することによる追加免疫効果があるのですが、自然麻疹が減少していると追加免疫効果が薄く、そのために追加接種が行われることになりました。
副反応としては接種後10日前後に発熱があります。その頻度は20%程度です。発熱持続は2日程度で、熱のわりには元気に過ごせることが多いです。解熱剤で対処してもかまいませんし、放っておいても自然軽快します。また、10〜20%に軽度の麻疹様発疹を伴うこともありますが、これも放っておいて差し支えありません。ワクチンを作るのにニワトリ胚細胞を使っているので、卵を食べて蕁麻疹が出たり、呼吸困難、血圧低下など重篤な卵アレルギーの人の場合は注意が必要です。ただし、最近のワクチンは高度に精製されているのでアレルギーの可能性はほとんどないと考えられているのが実情です。
Q:感染した記憶も予防接種をした記憶もありません。その場合、大人でも予防接種を行ったほうがいいのでしょうか。
A:大人でも予防接種を行ってかまいません。麻疹の免疫を持っていれば予防接種は必要ありませんが、以下の基準のどれかひとつが当てはまれば免疫があると判断でき、予防接種は必要ありません。
1確実な麻疹の既往。2血液検査で抗体陽性。
ちなみに仮に免疫のある者に対して接種しても副反応が増強することはありません。
大西 洋一 |