|
新型インフルエンザ流行対策として、日本企業では駐在員に対して抗インフルエンザウイルス薬であるタミフルの常備を勧めているようだ。当クリニックにも企業の担当者からの問い合わせが相次いでいる。
多くの場合は、流行が懸念される地域の駐在員とその家族には、日本に一時帰国した折に産業医を受診すればタミフルの処方がなされるが、日本への帰国の予定がない人に対し、現地医療機関で薬の販売または処方を受けることは可能かという問い合わせだ。
不特定者に対する販売はできないが、予防目的でのタミフルの服用は可能なので、受診患者から依頼があれば薬の処方は可能だ。ただ、個人が薬を手に入れても、どのタイミングで服用するかという問題が残る。新型インフルエンザが流行したとして、その際に発熱など疑われる症状があった場合、薬を服用する前に本当にインフルエンザかどうか診断する必要がある。結局病院で受診しなければならず、そうであれば診断をつけてから薬の処方を受ければよい。
流行時には病院の薬の在庫がなくなるという事態も考えられ、その場合は薬を常備しておくことは確かに役立つかもしれない。しかしながら、薬の有効期限はそれほど長いものではなく、常に使用可能な薬を個人で確保するにはそれなりの費用と労力が必要となる。
個人レベルで薬を確保すると、今本当に必要な人に薬が行き渡らない可能性や、結果的に多くの医療資源を無駄にすることになり、社会的には損失が生じるということも考えなければならない。
医師 大西 洋一 |