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神経性胃炎
最近、クリニックに見える方で「胃の調子が悪いあるいは痛い」といった症状を訴える例が多く見受けられます。患者さんご自身で神経性の胃炎ではないかとお尋ねいただくこともあります。今回は精神的なストレスが原因で生じる神経性胃炎についてです。
実は神経性胃炎は医学的用語としては存在しない病名で、一般的には精神的なストレスなどの神経性因子により発生する「急性胃炎」や「胃炎様」の症状があるものを神経性胃炎と呼んでいます。また心身症の1つの症状でもあります。
原因は精神的なストレスなどの神経性因子で、そのようなストレスは胃に対して3つの作用があります。
まず、(1)胃酸の分泌を増加させます。この胃酸の過剰分泌により急性胃炎が発生したり、ストレスが高度な時には潰瘍(ストレス潰瘍)に発展することもあります。
(2)胃の運動異常を起こします。胃が強力に収縮すると一般的に「胃けいれん」と呼ばれているように、強い腹痛が起こります。
(3)胃の運動が抑制されます。このことによって、胃に食物が停滞し、胃膨満感、胃痛、胃部不快感、そして食欲低下などの症状が発生します。
また、こうした症状があっても内視鏡検査などで異常が見られないため、機能的疾患(胃の働きの異常で起こる病気)と言われています。急性胃炎や胃潰瘍などが存在しないにもかかわらず胃部に不快感、腹痛、膨満感、むかつきなど種々の症状が出現し、食欲不振などが起こる病気です。
ただし、神経性胃炎を疑う場合でも、胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどの可能性もあるので要注意です。念のために内視鏡検査を受けることが大切です。また脂っこい食物により腹痛などの症状が発生・増強する場合は、胆石や膵炎(すいえん)の可能性があるため、腹部超音波検査などを受けるべきでしょう。
日常は暴飲暴食を避け、多量の香辛料やアルコール、カフェイン類の摂取を控える、禁煙することなどが重要です。また、精神的なストレスの負担を軽くするために、何事においても完璧を目指さないで、7−8割達成すればよいように考えることも大切です。また、シンガポールという外国に住まわれている以上、国内でいらっしゃるよりも色々な面で精神的ストレスは強いものです。お仕事や日常生活でできる限りストレスがかからないように、あるいはストレスを発散できるようにされることが肝要です。治療には胃酸抑制剤や胃腸運動調節剤、より精神的なストレスが強い場合は軽い精神安定剤が有効です。
永山 憲市 |