29 Jul 2004 医療コラム(Dr 永山) その10
ジアルジア症
 

ジアルジア症

ジアルジア症はGiardia Iambliaという寄生虫の感染によって引き起こされる下痢性疾患です。感染経路はいわゆる糞‐口感染で、人と人の接触や食品を介した小規模集団感染と飲料水を介した大規模な集団感染が知られています。

<疫学>
ジアルジア症の感染者数は世界人口のうち数億人を占めるとされ、地球規模で見ればごくありふれた腸管寄生虫病なのかもしれません。特に熱帯・亜熱帯に多く、有病率が20%を超える国も少なくありません。日本あるいはシンガポールでは衛生環境の改善、中でも上下水道の整備が行われ、このような寄生虫病が激減しています。ジアルジア症のほとんどは日本国外あるいはシンガポール国外での感染例、つまり輸入感染症なのです。ジアルジアは別名ランブル鞭毛虫とも呼ばれています。ジアルジアは外界の環境によく耐え、水中で3カ月以上生存し、人での実験では10〜25個の寄生虫の摂取により感染が成立したとの報告があり、伝染力も強いのです。

<症状と治療>
ジアルジア症の主な臨床症状としては下痢、衰弱感、体重減少、腹痛が挙げられます。下痢は水様ないし泥状便で、排便回数は1日20回以上から数回程度と様々です。多くの症例で発熱は見られません。ジアルジアの治療には抗寄生虫薬を1週間服用する必要があります。医師の指示を守ってきっちり服用しないと、駆虫できずに難治性保菌(虫?)者になる場合があるので注意が必要です。

<予防策>
ジアルジア症は典型的な糞‐口感染によって起こりますので、寄生虫で汚染された食品や飲料水を介して伝染していきます。感染力が強いため、患者の排便後の手洗いが非常に重要です。また小型寄生虫であるため浄水場における通常の浄水処理で完全に除去することは困難とされています。また、塩素消毒にも抵抗性を示します。したがって飲料水は煮沸消毒されているものを飲用する注意するべきです。
ジアルジア症以外にもアメーバ赤痢などの寄生虫感染症がシンガポールの近隣諸国では存在しています。ご出張・ご旅行後に下痢が生じた場合にはできるだけ早く医師の診察をお受けください。

永山 憲市

 

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