05 Aug 2004 健康診断結果の見方 その9
肝炎(その1)
 

肝炎(その1)

肝炎とは肝臓の炎症性の病気で急性のものと慢性のものがあり、肝硬変、肝癌の成因として重要です。肝炎の原因には薬剤、アルコールやA型肝炎(HA)、B型肝炎(HB)、C型肝炎(HC)などのウイルスがあります(D〜G型もあるが頻度が少ない)。ウイルス性肝炎は、体内に入った肝炎ウイルスと生体の防御機構との肝臓を舞台とした戦いです。ウイルスが体内に入っても免疫機序が働かない場合には肝炎は起きません。

<A型肝炎>
経口感染し集団発生もあります。特に生水を飲んだり魚介類の生食(特に生牡蠣)には注意が必要です。
感染は一過性で、持続感染、慢性肝炎はありません。おもな症状は倦怠感、発熱、黄疸です。症状の程度は無症状から頻度は低いですが劇症肝炎まで様々です。
このウイルスに感染したことがあるかどうかを調べるのが、A型肝炎抗体(IgM−HA抗体)検査です。生活環境の整備により、現在日本では45歳以下の人にはほとんど自然免疫はありません。
なお、A型肝炎はワクチンで予防することができます。

<B型肝炎>
B型肝炎ウイルスは、とくに血液を通じて感染します。
B型肝炎ウイルスは、急性肝炎を起こしたり、慢性肝炎から肝硬変、さらに肝癌へと病気を進行させるウイルスとして恐れられています。
このウイルスに感染しているかどうかを調べるのが、HBs抗原・抗体検査です。HBs抗原やHBs抗体が血清中から確認されれば、B型肝炎ウイルス感染者として診断されます。しかし、HBs抗原が確認されても、免疫が働かずHBs抗体が作られない場合(免疫力の未熟な幼児期以前の感染など)は、肝細胞も破壊されないので、肝炎が発病しない事もあります。これを、無症候性キャリアと呼んでいます。日本では、このキャリアが約200〜300万人といわれています。一生肝炎を発症しない場合もありますが、一部は肝炎を繰り返し、肝硬変、肝癌へと進みます。そのためHBs抗原・抗体検査は、急性肝炎や慢性肝炎、肝硬変、肝癌の診断だけでなく、キャリアかどうかの確認のために、さかんに用いられています。
なおB型肝炎はA型肝炎同様、ワクチンで予防することができます。

<C型肝炎>
B型肝炎ウイルスと同様、血液を通じて感染します。
C型肝炎は急性発症は比較的少なく、慢性化率が高いです。慢性化すると肝硬変、肝癌の原因になります。
感染すると血液中に抗体が出来るため、C型肝炎抗体の有無を調べると、感染しているかどうかがわかります。最近のウイルス遺伝子による検査法では、ウイルスの量や型を調べる事もできます。感染があると陽性になりますが、抗体は感染後一ヶ月で血液中に現れるため、感染直後の検査では陰性でも、一ヶ月後に陽性になる事があります。
C型肝炎にはワクチンはありません。感染後の治療としてはインターフェロンが有効な時もあります。

健診結果はきちんと健康増進に生かしましょう。ガイドラインに基づいた正しい治療を受けましょう。

(その2に続く。)

大西 洋一

 

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