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心身症(1)
心身症という病名をお聞きになったことのある方も多いと思います。海外で暮らすこと自体が精神的ストレスである上にシンガポールのようにストレスの多い国(日本の方がストレスが多い!?)では心身症的な問題が多いのも事実かもしれません。しかし、名前が売れてる割には、この病気の中身についてはあまり知られていないよう気がします。
現在の定義として、日本心身医学会では「身体疾患の中でその発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など他の精神障害に伴う身体症状は除外する」というようにまとめられています。つまり心身症は、体の病気であって心の病気ではない、ということです。しかし、原因に精神的ストレスが大きく関わっているので、治療や再発防止のために、薬などの身体的アプローチだけでなく、心理的なアプローチも必要であることを示す言葉であるともいえるでしょう。
現代では多くの病気の発症や悪化に精神的ストレスが関与していると考えられています。ストレスに関連する病気には心身症を中心とする多くの身体的疾患と精神的疾患が含まれています。特に、うつ病、神経症などの心の病は、広い意味ではストレスによって発症してきます。しかしそれらをストレス疾患と呼ばないのは、ストレス以外の要因が大きいからです。ひどいストレスにさらされたからといって誰もがうつ病になるとは限りません。こうした病気には、遺伝的素因や成長過程との関わりがかなりはっきりと推測されるというのが一般的な考え方です。
これに対して、心身症は「誰もがかかりうる病気」です。特にストレスがあふれている現代社会では、誰が心身症になってもおかしくないのです。ストレスが関係する病気は胃潰瘍や胃炎などたくさんあります。これらの病気の原因にストレスが大きく関わっていると思われる場合はストレス対策が必要となります。ストレスは避けるべき恐ろしいものではありません。ストレスを避けようとするのではなく、私たちはどうしたら最善のやり方でそれらに対処できるかを学ぶことが重要でしょう。同じストレスにさらされても心身症になる人とならない人がいるのは、この「ストレスへの抵抗力」の強さによるものだと思われます。これらは後天的な訓練や経験、その人の人生観によるところが大きいようです。
次回はストレスへの抵抗力(対処方法)についてお話したいと思います。
永山 憲市 |