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骨盤性腹膜炎
女性特有の病気を私ども内科医も診察する機会がよくあります。内科医は婦人科的な診察(いわゆる内診)はあまりできませんが、内科的な病気を除外していく過程で浮かび上がってくる婦人科的な病気はたくさんあるのです。もちろん確定診断や治療は婦人科の先生にお願いすることになるのですが・・・。
そのような病気の中でも頻度の高い疾患のひとつに今回お示しします骨盤腹膜炎があります。ご存知のように腹壁の内側や内臓の表面をおおっている膜を腹膜といいます。骨盤内の腹膜に炎症がおこったものを骨盤腹膜炎と呼ぶのです。炎症の場所によって特に卵巣周囲炎、直腸周囲炎などといわれることもあります。また、右側の卵巣周囲炎の場合、場所が虫垂に非常に近いことから急性虫垂炎との鑑別が困難な例もあります。
骨盤腹膜炎は子宮の中におこった感染や、付属器炎に続いておこります。卵巣と卵管をあわせて付属器といい、腟から入った細菌が子宮を通って付属器に感染したものが付属器炎です。これは炎症がひろがって骨盤腹膜炎の原因となります。
付属器炎なども含めて骨盤内の炎症を骨盤内炎症性疾患(Pelvic Inflammatory Diseases、PID)といいます。この病名は「骨盤腹膜炎」とほとんど同じ意味に使われることもあります。原因の多くは大腸菌やブドウ球菌などの細菌が感染したものです。しかし最近ではクラミジア感染が原因のPIDが増加しています。
症状としては発熱があり、下腹部が痛くなります。腰痛や膀胱炎症状などが続いておこることもあります。慢性的な炎症が持続する結果、卵管周囲に癒着がおこると不妊症の原因にもなります。多くの例で子宮にも炎症があるため不正出血がおこったりおりものが増加したりします。
治療としては抗生剤を比較的長期間2週間前後点滴もしくは内服で投与します。炎症がひどく、卵巣に膿がたまって腫れた場合や腹部全体に炎症が広がった場合、また慢性炎症による癒着が強い場合などには手術が必要なこともあります。
この病気の場合、生理痛や排卵痛と間違えられたり、膀胱炎として治療されたりすることもありますので注意が必要です。
永山憲市 |