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妊婦の服薬について
外来患者さんからよく「妊娠している可能性がひょっとしたらあるかもしれないので、薬を服用できるのでしょうか。」といった質問を受けます。
月経が1週間ほど遅れて、妊娠の可能性が疑われる場合、もし妊娠しているとすれば妊娠5週ということになりますから、尿検査や超音波検査で判断がつくことが多いです。しかしながら、通常でも月経がまだ来ないような時期(妊娠していたとして4週未満の時期)では判断ができません。
一般に、受精前から妊娠3週末までは、仮に薬の影響があっても妊娠が成功しない(流産)か、完全に影響が修復されるかのどちらかなので、長く残留する薬でなければ出生児に影響はありません。そういった意味では妊娠が明確になるまではあまり気にせず薬を服用できます。
妊娠が明確になったら注意が必要です。4週から7週末までは重要な臓器が発生・分化する時期なので、治療上の有益性が危険性を大幅に上回ると判断される場合以外は、薬物は極力避けるべきです。これ以後は胎児の薬に対する感受性は減少しますが8週から15週末には性器の分化や口蓋の閉鎖などがなされるため、ステロイドホルモン剤などの使用には慎重になるべきです。16週以降は臓器の形成は終了し、発育の時期となります。薬の影響は比較的受けにくいですが薬の種類、使用法、使用期間により異なります。
薬の添付文書には妊婦に対しては「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合だけ使用する。」「投与してはならない。」「投与を避けることが望ましい。」「安全性が未確立。」などの表記があります。しかしながらその根拠が症例報告に基づく確実度の高いものばかりとは限らず、単に妊娠中に投与したデータがないなどの理由でそうなっているものもあります。また、「動物で胎児毒性」という表記もありますが、動物実験の結果では胎児への有害作用の頻度を増大させるという証拠が得られているが、この点に関するヒトへの意義はまだ不明であるという意味です。
いずれにしても薬服用の必要性とそのリスクについて医師と十分に話し合い、最終的には患者さん自身が納得のいく方法を選ぶ事が重要です。
大西 洋一 |