23 Dec 2004 感染症 その10
タイのインフルエンザ
 

タイのインフルエンザ

今回は、シンガポールでも流行シーズンが近づいているインフルエンザについて、本年8月〜9月にタイ、バンコク在留邦人で集団発生した内容をお示しします。

2004年8月下旬より、高熱・上気道症状・腹痛・頭痛を呈する集団かぜが邦人幼稚園児の間に発生し、9月に入ってはっきりとした患者数は分かりませんが一部の日本人幼稚園が学年閉鎖しました。続いて、同様の疾患が邦人小学生(主に低学年)の間に流行し、日本人小学校1、2学年(各学年9組)が、それぞれ9月14〜17日、21〜23日に学年閉鎖となりました。これら邦人幼稚園児および小学校児童の10人からインフルエンザウイルスが検出され、この流行は主にA型インフルエンザによることが判明しました。また、B型インフルエンザも混在していることが分かりました。詳しい検査からA型はNewCaledonia/20/99−like、B型はHongKong(香港)/330/2001−likeで、本年のインフルエンザワクチンで十分予防対処できるものでした。また、この子供たちの流行に付随して、患児の父兄を中心として大人の方々の間にも確実な患者数は不明ながらインフルエンザの流行が認められたようです。

タイ保健省によるとタイ国のインフルエンザ流行は、北半球の流行シーズンと平行して1、2月に小さなピークが、また、南半球のインフルエンザ流行シーズンに平行して6〜8月(タイでは雨季期間中)に比較的大きなピークが認められるようです。タイ国に在留する邦人は、2003年10月時点で28776人(届出数)、未届け滞在者も含めると5万人以上はタイ国に滞在していると推定されています。届出者のうちその多くはバンコクに居住し、バンコクの日本人小学校生徒数は日本人学校としては世界で最も多いといわれています。学校が長期休暇になるシーズンには、一時帰国する在留邦人が増えることから、在留邦人が各種感染症のキャリアとなる可能性が在り得るわけですが、これは日本に病気を持ち込む可能性があるとともに、日本から持って帰ってくる可能性も十分にあるわけです。この点に関してはタイもシンガポールも同じことが言えます。年がら年中暑苦しい熱帯の国で、どうしてインフルエンザが流行るのか?北・南半球の温帯地域の国々(日本、香港、台湾、カナダ、アメリカ、オーストラリア等)からインフルエンザが人間の流れといっしょに流入してきていると考えても間違いはないでしょう。昨年の北半球が冬の流行シーズン(2003/2004年)では私どものクリニックでも多くのインフルエンザの日本人患者さんを治療いたしました。事実、日本から持ち込んだと確認されるインフルエンザ集団事例(日本からの修学旅行生)がありました。

現在のところに日本で発生しているインフルエンザのウイルス型は本年のインフルエンザワクチンでカバーできるもので、WHO(世界保健機構)の予想は当たっているようです。インフルエンザワクチンの効果は接種後2〜4週間後から発揮され、すくなくとも6ヶ月は有効と考えられています。したがって、インフルエンザワクチン接種をお済ませでない方は、早いうち(できれば2004年内)にお受けいただいたほうがいいと考えられます。

永山憲市

 

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