10 Mar 2005 胃腸疾患 その11
虚血性大腸炎
 

虚血性大腸炎

脳を養っている血管がつまると「脳梗塞」になります。心臓を養っている血管がつまると「心筋梗塞」になります。これと同じことが大腸におきて大腸を養っている血管がつまり血行不良(大腸の虚血)のために大腸の粘膜に炎症が起こってしまうのが虚血性大腸炎です。

この病気は細菌感染とは関係なく、糖尿病や高血圧といった動脈硬化を伴うような病気を有する比較的年配の方(50歳以上)におこることが多いと言われています。痔や大腸癌ほど一般的な病気ではありませんが、腹痛、下血(肛門からの出血)と言った症状を示します。この大腸炎は左側の下行大腸に生じることがほとんどで、したがって腹痛は左上腹部から下腹部にかけて訴えられることが多いのです。症状は一過性で、比較的早く軽くなるのも特徴ですが、他の大腸の病気(潰瘍性大腸炎、アメーバ性大腸炎や腸結核、そして大腸がん)との鑑別と診断確定のために大腸内視鏡検査が必要となります。

治療は、腸の安静を保つことが最も重要です。数日間絶食し、点滴を行いながら経過を観察するだけで、約8割の方は5日以内で症状が消え、回復します。この病気は、便秘でいきんだり、下剤を飲んだ後に発症する場合も多いことから、便秘やいきみで腸内の圧力が高まったり、下剤で腸の動きが活発になった時に、腸の粘膜の血液の流れが悪くなることが原因のひとつとも考えられています。普通、後遺症は残りませんし、大腸がんが発生しやすくなるようなことはありません。 

予防には、便秘や、下剤の内服を避けることが肝心です。ふだんから食物繊維や水分を多く取ることを心がけ、よく運動をするなどして、便通を整えておきましょう。当然、糖尿病や高血圧といった慢性的な病気の治療も重要です。

永山 憲市

 

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