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アデノイドや扁桃腺が問題となる場合とは?

ノドや鼻の奥には、扁桃(へんとう)組織とよばれるリンパ組織がたくさんあります。その中でも大きくて有名なものが、扁桃腺とアデノイドです。扁桃腺は、口を開ければ鏡で見ることができますが、アデノイドは鼻の奥にあって、自分で見ることはできません。また、アデノイドは8ー10歳以降では縮小して、ほとんど目立たなくなります。ときに、これらの組織の「サイズが大きくなりすぎ」たり、「炎症を反復」したりして、問題を生じることがあります。

当たり前ですが、人間は呼吸を鼻か口から行います。そのため、扁桃腺やアデノイドが大きすぎると、空気の通り道が狭くなり、夜間のイビキや睡眠時無呼吸を生じることがあります。大人でも子供でも、症状が強い場合は、手術で扁桃腺やアデノイドを取ることが検討されます。

子供の場合は、アデノイドが大きすぎると、中耳炎を反復することがあります。鼻の奥と耳をつなぐ交通路(耳管「じかん」といいます)に、アデノイドが悪影響を及ぼすためです。それ以外にも、「口呼吸」「集中力低下」「漏斗胸(ろうときょう):胸の変形」「アデノイド顔貌:特徴的な顔つき」といった悪影響がでることがあり、やはり手術治療が検討されることがあります。

扁桃腺の感染症を反復する場合も手術が考慮されます。手術は、入院の上全身麻酔のもとで、口の中から行われます。扁桃組織自体はノドや鼻に他にも多数あるので、手術をしても免疫機能などへの影響はないと考えられています。

アデノイドや扁桃腺のトラブルについては、様子をみたほうがよいのか、手術に踏み切ったほうがよいのか、問題となっている症状を総合的に判断して、ご本人や保護者の方とのご相談の上で決めていくことになります。

医師 千原 康裕