医師コラム

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言語の発達と聴力

赤ちゃんが1歳ごろになると「ママ」「パパ」などと話しはじめ、2~3歳に成長すると、どんどん色々な会話をするようになります。この時期を含めて、子供は急激に言語能力を発達させ、コミュニケーション能力や学習能力を高めていきます。
言語の発達に問題が生じる場合は、どのプロセスで問題が生じているのか特定が必要となります。今回は、最初の入力部分、聴力に問題がある場合を取り上げます。

聴力に問題があると、そもそもお手本となる言葉の入力が減ってしまうため、言語発達に問題が生じることがあります。最近では、生後すぐに新生児聴覚スクリーニングという検査が行われることも多いため(シンガポールではほとんど行われますが、日本では普及率が50%程度です)、高度難聴が発見された場合には、人工内耳や補聴器の使用を検討したり、手話などを含めた言語能力の獲得を目指します。古くはヘレンケラーの例が有名ですが、聴覚に問題があっても、早期からの対応や教育で高い言語能力の習得が可能です。

むしろ問題が生じるのは中ぐらいの難聴の場合と言われています。両側の痛みを伴わない中耳炎が長引いてなかなか気づかれない場合や、先天的に、あるいは何らかの感染症などで後天的に中ぐらいの難聴が生じる場合があります。遠くから迫ってくる車の音が聞こえていないという差し迫った問題もあるのですが、そのほかに、長期的な言語習得に問題が出る場合もあり、早期の発見や対応が望まれます。お子さんが「物音に反応しない」「テレビの音が大きい」「呼びかけてもなかなか反応しない」ことが続く場合は、医療機関への相談も検討していただければと思います。

医師 千原 康裕