医師コラム

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難聴と認知症

多くの先進国では認知症の増加がクローズアップされていますが、世界的に権威のあるランセットという医学誌で最近、膨大なデータをもとに「本人が意図すれば改善できる認知症の危険因子」が9つ提示されました。それは、「中等教育の未修了(中学までの義務教育がある日本ではあまり関係ないかもしれません)」「高血圧」「肥満」「聴力低下」「喫煙」「抑うつ」「運動不足」「社会的孤立」「糖尿病」の9つの危険因子です。その中で、今回は聴力低下、つまり難聴について取り上げたいと思います。
難聴には、感音(かんおん)難聴(耳の奥の神経自体が傷んでしまう難聴)と、伝音(でんおん)難聴(音を伝える鼓膜や中耳の問題)があります。一般的に、感音難聴は治療することが難しく、伝音難聴は治療可能なものが多い傾向にあります。認知症予防の観点からは、特に伝音難聴については、治せるものは治しておくということが大事です。
感音難聴の原因としては、加齢によるもの、突発性難聴やメニエール病によるもの、脳疾患や薬剤性のものなど多岐にわたります。治療をつくしても治せないものについては、補聴器などを検討することとなります。最近では、家電品扱いの補聴器も発売されています。補聴器を敬遠される方もいらっしゃいますが、メガネと同じで、より多くの感覚情報を得た方が、生活や仕事が充実することも多いので、検討する価値はあると思います。
健診で聴力異常を指摘された方や、聴力に不安のある方は、難聴のタイプや希望される生活スタイルに応じて適切な対応法がありますので、医療機関でもご相談いただければと思います。

医師 千原 康裕