医師コラム

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画像は語る

最近のテレビドラマ「ラジエーションハウス」で放射線科のお仕事が取り上げられているので、今回は「整形外科疾患シリーズ」をお休みにして画像(レントゲンなど)についての、私の日ごろからの思いを綴ってみたいと思います。

長らく外来で多くの患者さんたちにお会いしていると、患部の腫れ具合や圧痛(指で押したときの痛がり方)の程度で骨折があるかないかだいたい分かるようになるのですが、「体の内部で実際に何が起こっているのか」を教えてくれるレントゲン(や、その他MRI・CTなどの画像検査)は私の仕事にとって、やはりなくてはならない物です。そのため私は、その画像を作成してくれている放射線科の人々には日々格別に「ありがとう」の気持ちを持っています。

見たいところをきちっと撮影してくれていると、言葉を交わさなくとも思いが通じた気がして嬉しくなりますし、例えば骨折が日を追うごとに治っていく様子がレントゲンに表れてくると、人間の体の再生力を直に見られるこの職業に就いてよかったな、と感謝します。骨折したところから新しい骨の細胞が出てきて元通りに骨がくっつき形も綺麗になっていく様子は、純粋に嬉しくもあり、神秘的と感じることすらあります。

・・・と、こんなことを書き連ねているとマニアックに思われるかもしれませんが、私が最も美しいと思うことが多いのは、手術後のレントゲンです。術者が選んだピンやスクリュー1本1本にも意味があり、その長さにも位置にも方向にも更に意味があり、補助のワイヤーがもし使われていたとしたら更にそれにも意味があり、その意味は何なのか考えながら術後レントゲンを見るとき、ピン1本に込められた術者の思い、「患者さんを少しでも良く治したい」という気持ち、「完璧な手術にしたい」というプロ意識、などが1枚の画像から伝わってきて涙がこぼれそうになることがあります。術前写真と比べてみて、難度の高い手術だったにもかかわらず全てのピンやスクリューが理想の位置に収まり、これ以上完璧には治しようがないという画像を見たときには、言葉が出てこないほどです。私は芸術にはとっても疎いのですが、この時の感動は、きっと絵画に詳しい人が1枚の絵を見て感動する気持ちと相通ずるものがあるのかもしれません。

ドラマ「ラジエーションハウス」では主人公の放射線技師がレントゲン写真を見ながら、「よーく目を凝らすと、優しさに気づくことが出来る」と語るシーンがありますが、本当に画像は痛いほど主張してきます。そして、それに気づくことが出来る職業に就かせていただけたことは、やはりありがたいことだと思っています。

と、やっぱりマニアックな話になってしまいました・・・。
次回は多分また「整形外科疾患シリーズ」に戻ります。

医師 長谷川 典子