医師コラム

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不妊治療1

前回までは不妊ドックについてお話しました。今回より不妊ドック終了後の不妊治療についてお話します。
不妊治療には以下のようなステップがあり、次の段階へ進むことをステップアップと言います。
(1) タイミング法
(2) 人工授精
(3) 体外受精、顕微授精
まず(1)のタイミング法ですが、月経周期や基礎体温よりだいたいの排卵日を予測することはご自身でも可能です。しかし、思っていた排卵日と実際の排卵日が異なるとやはり妊娠のチャンスは低くなります。特に月経不順のある方はご自身で排卵日を特定するのは非常に困難です。その場合、排卵日の少し前から卵胞(卵子の入った袋)の大きさを超音波でモニタリングしたり、排卵日検査薬や採血検査などを行うことで、より正確に排卵日を特定することが可能です。また、排卵障害がある場合は排卵誘発剤などのお薬を用いて卵巣を刺激し、排卵を促す必要があります。この様に排卵日を特定し、その日に性行為を行うことをタイミング法と言います。ご夫婦の年齢や不妊の原因、不妊期間、ホルモン値などを考慮した上で、だいたい3~6回くらい行い、ご妊娠に至らない場合は次へのステップアップを考えます。
次の(2)人工授精とは、女性の排卵日をモニタリングし排卵日当日に精子を子宮内に直接注入する方法です。本来女性の腟内で射精される精子を子宮の中に注入するシンプルな手技ですのでより自然に近い妊娠が望め、痛みもほとんどありません。フーナー検査(Huhner Test)の結果が不良な場合や射精障害がある場合にとても有効です。また、妊娠率は低下しますがパートナーの出張などが多く排卵日に合わせてタイミングを取るのが困難なカップルは、精子を凍結保存し、排卵日に解凍した精子を用いて人工授精することも可能です。
なお一般的に人工授精で妊娠に至る方は施行全体約50%(累積妊娠率)ですが、1回の成功率に換算すると約10%です。妊娠された方の約80%は3回まで、約90%は5回までに妊娠しているため、施行は3~5回までが目安です(ご年齢や精子の所見によって目安の回数は変わります)。それでもご妊娠に至らない場合は次へのステップアップを考えます。
次回は(3)の体外受精、顕微授精についてお話します。

医師 長谷川 裕美子