医師コラム

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不妊治療2 体外受精

前回は不妊治療における最初の段階である、タイミング法、人工授精についてお話しました。今回より体外受精、顕微授精についてお話します。

体外受精の歴史は1978年に世界初の体外受精をエドワード博士(イギリス)が成功させ、体外受精児が誕生してから40年弱が経過しました。その誕生児もすでに結婚、自然妊娠、出産されており、この功績が認められ2010年に博士はノーベル生理学医学賞を受賞されています。この間、日本でも20万人以上の赤ちゃんが体外受精により誕生しています。

2016年12月に発表された2012年の日本国内の体外受精実績では、1年間に32万6千回の体外受精が行われ、そのうち3万7953人の子供が生まれたそうです。2012年の総出生数は約103万7千人ですから体外受精による子供の割合は約27人に1人となります。実施件数、出生数は年々増加しています。

また近年、卵子(未受精卵)凍結も可能となりました。これについてはまたいつかお話したいと思いますが、女性の社会進出、晩婚化、晩産化に伴い今後もますます体外受精児は増加するでしょう。一方で誤った偏見を持つ方もまだまだ少なくありません。正確な情報を発信し、きちんと理解して頂くことがとても大切ですね。

さて、体外受精を行う適応にはどんなものがあるでしょう。まず、絶対的な適応としては精子が極端に少ない男性因子です。その場合、今後お話しする顕微授精が必要になります。また、両側卵管を手術などで切除している、または卵管の閉塞や狭窄があるなどといった卵管因子も絶対的適応となります。しかしそれ以外で、全体の不妊症の3分の1に相当するといわれている原因不明不妊症の場合も最終的な選択肢として体外受精があります。

体外受精では、採卵(卵子を身体の外に取り出すこと)することで今までのスクリーニング検査ではできなかった「卵子の質」を検査することができ、また受精の有無やその状態を確認することができる、いわば原因不明不妊症に対する最終的な検査にもなります。ですので、検査としての意味合いで体外受精を行う場合もあります。一度ステップアップをすると戻れないのでは、と考えている方も多いようですが、このように検査目的で体外受精をして卵子や受精に問題なければまた元に戻す(ステップダウン)することも可能です。ただ当然ながら「卵子の質」は年齢とともに落ちていきますので時期を見極めることはとても大切です。

次回も引き続き体外受精についてお話します。

医師 長谷川 裕美子