医師コラム

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不妊治療3 体外受精

前回より体外受精についてお話しています。
今回は体外受精を行う時期について少しお話します。体外受精というと不妊治療では『最後の砦』というイメージがあり最終手段として取っておくケースや、奇形児や染色体異常児の確立が上がるのではと心配してなかなか体外受精に踏み切れないケースによく遭遇します。お気持ちは大変よくわかります。私自身、不妊治療に携わるまでは正直同じような考えを持っていました。しかし、実際の年齢が上がれば上がるほど体外受精での妊娠率(着床率)は低下し、流産率は上がります。そして『卵子の質』は一般的に年齢相当と考えられていますが、必ずしもそうではない場合があります。
また生理が順調であっても必ずしも『卵子の質』がよいと言うわけではありません。実際、35歳を過ぎると急激に質が低下する方がいます。特に過去に卵巣の手術をされた方、子宮内膜症をお持ちの方、生理が極端に不順の方、喫煙する方などは卵子が年齢以上に悪い場合が多くあります。したがって35歳までに1年以上妊娠に至らない場合は卵子検査もかねて、体外受精をすることをお勧めします。

私が以前勤務していた不妊専門クリニックの院長が、ちょっと早すぎるくらいが体外受精の成功の秘訣と言っていました。卵子が良好であれば1回の体外受精で妊娠することも多く、また受精卵が余れば(余剰胚といいます)凍結保存し、次の妊娠(第2子)のためにストックしておくことも可能です。例えば35歳のときに採卵して凍結しておいた受精卵を第2子妊娠のために38歳で移植することができます。その場合、38歳で採卵、移植した受精卵に比べて妊娠率が高くなります。つまり卵子が若い受精卵ほど妊娠しやすいのです。そう考えると『最後の砦』として先延ばしにしてしまうのはもったいないような気がしませんか? 時期の見極めを間違えないように担当医としっかり相談して治療をしましょう。

医師 長谷川 裕美子