医師コラム

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放射線検査と被曝について

最近、ある患者さんから胸部レントゲンを撮影した際の放射線被曝に関して質問されました。気になる方もいらっしゃると思いますので、少しまとめてみました。

始めにご承知おきいただきたいのですが、放射線の単位にはGy(グレイ)、Sv(シーベルト)などがあります。ある物質に放射線を照射した際に吸収されるエネルギー量をGyといい、人間が被曝した際の健康への影響の大きさの単位がSvとなります。

また、被曝による人体への影響ですが、しきい値(影響が出てくる量)が決まっている確定的影響と、しきい値のない確率的影響の2種類があります。
確定的影響には脱毛・白内障・不妊などがありますが、最もしきい値が低い男性の一時的不妊でもその被曝量は150mGyです。
確率的影響には発がんや遺伝的影響がありますが、大量の被曝(200mSv以上)をしなければ通常のがん発生率と変わらないとされています。また、人間に対する遺伝的影響の発生は科学的には証明されていません。

では、具体的な被曝量はどの程度でしょうか。推定値ですが、胸部レントゲンで0.2mGy(0.06mSv)、マンモグラフィは2ー3mGy(0.3ー0.6mSv)、胸部CT15ー20mGy(7mSv)、腹部CT25ー30mGy(5ー10mSv)、胃透視検査50ー100mGy(3mSv)とされています。
通常の検査が人体に影響を及ぼす可能性は非常に低いことがお分かりになると思います。

なお、自然界にも放射線は存在しており、普通に生活しているだけでも年間2.4mSvの被曝があるといわれています。余談ですが、東京とニューヨークを航空機で往復すると0.11ー0.16mSv被曝するとの報告もあります。

放射線検査には確かに被曝があります。ただ、繰り返しになりますが通常の放射線検査で人体に影響が出る可能性は非常に低いと考えられます。このコラムが少しでも患者さんの不安の軽減につながりましたら幸いです。

医師 堀部 大輔