医師コラム

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急性腹症4 虚血性大腸炎

急性腹症とは、急激に発症した腹痛を伴う疾患の総称です。急性腹症と一口に言ってもさまざまな疾患が含まれますが、その中から、私がシンガポールに赴任してから経験したことのある疾患を中心に、ひとつずつピックアップしてお話ししていきたいと思います。

第4回目は、虚血性大腸炎についてお話します。
・原因は?
虚血とは臓器の血の巡りが悪くなることです。おなかの中には大腸へむかう大きな血管があり、大腸の近くでどんどん枝分かれして細い血管になります。そのうちの大きな血管ではなく、ごく小さな血管が障害されることで、大腸の一部で血の巡りが悪くなると虚血性大腸炎を発症します。おなかの中でも左側の大腸に起きやすいといわれています。

・症状は?
典型的な症状は突然の腹痛とそれに続く下痢、血便です。冷汗や悪心・嘔吐がみられることもあります。

・診断はどうやってつける?
大腸内視鏡では特徴的な粘膜の炎症がみられ、診断に有用です。また、大腸の造影検査や腹部CT検査で診断をつけることもあります。

・治療は?
基本的には食事の禁止、点滴による補液が治療の基本となります。入院が基本ですが、症状が軽い場合には入院しないで治療することもあります。ただ、炎症の影響で腸が狭くなってしまうことがあり、その際には手術が必要となります。また、重症例では腸に穴が開いてしまったり、腸が壊死してしまうことがあります。その場合は緊急手術が必要となります。

虚血性大腸炎は高血圧、糖尿病、高脂血症といったいわゆる生活習慣病による動脈硬化性の変化と、便秘などの機械的要因が関与しているとされています。あまり聞きなれない病気だとは思いますが、自身の生活を見直すことがこういった病気の予防につながる可能性がありますので、ぜひともご留意ください。

医師 堀部 大輔