医師コラム

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熱さまし(解熱剤)の上手な使い方

生まれたばかりの赤ちゃんは、母親からもらった病原体に対する抗体の貯金があるためほとんど熱を出しません。しかし、貯金がなくなってくる半年を過ぎると風邪をひいて発熱する機会は増えてゆき、小学校に入る頃までは人生でも最も熱を出す時期といってよいでしょう。今回は、小児の熱にどのように対応したらよいかについてお話します。
まず、熱は病原体に対して免疫の働きを高めるなど正常な防御機能が働いていることを意味し、すべて悪いわけではありません。幼少期には体温コントロールが未熟なため、いったん発熱すると40度くらいまで上昇することも珍しくありませんが、大人の感覚からすると比較的元気なことも多いです。おもちゃで遊んでいて水分も取れているような状況の時は、熱さましを使う必要はありません。しかし、体力を奪ったり水分摂取を妨げたりする悪い面もあるので、本人がつらそうにしている時や熱のため寝つきが悪いといった時には熱さましを躊躇せず使ってあげてください。熱を下げても風邪が早く治るわけではなく、あくまでもつらい症状をとってあげることが目的です。熱がどんどん上がっていく時にはすっきりと平熱にまでは下がらないかもしれませんが、若干でも熱が下がると本人にとっては過ごしやすくなるはずです。大切なことは、熱の数字そのものを気にすることではなく、水分が取れているか、おしっこは出ているか、といった全身の様子を見てあげることです。
氷枕やおでこに貼る冷却材などは、本人が気持ちよさそうにしているときには使ってあげていいですが、嫌がるとき(そのほうが多いです)は無理に使う必要はありません。熱さましと同様、あくまで本人の苦痛を取ってあげられるかがポイントです。また、子供用の熱さましは安全性が高いものが使われていますが、大人用の解熱剤には子供の急性脳症の誘引になるといわれているものもあるため、熱さましは自己判断で使わずに本人に処方されたものを使いましょう。

医師 長澤哲郎