医師コラム

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予防接種2

前回は予防接種で防げる病気がいかに恐ろしいものであるかについてお話ししました。
麻疹(はしか)は医療環境の整った国でも救命しえない可能性があること、おたふく風邪のような一般に「軽い」と考えられているものでも難聴や不妊といった一生にわたる後遺症のリスクがあることが理解いただけたと思います。

予防接種については、回数に関する質問もよくお受けします。基本的にヒブ(Hib)や4種混合などの不活化ワクチンでは抗体産生の効果が低いため回数が必要で、通常は3、4回となります。これに対して、麻疹や風疹、BCGといった生ワクチンでは抗体産生能力が高いため、通常1、2回で済みます。ただし、回数については環境の変化とともに変わってきています。かつて麻疹ワクチンは1回接種すればいいとされていました。これは、2000年頃まで日本で数十万人の患者が報告されており、1度基礎的な免疫をつけておけば、街中で知らないうちに麻疹患者と接する機会があり、その都度免疫が再教育されて抗体が高い状態を保つことができたためです。しかし、近年は麻疹患者が100名程度まで低下したため、かつてのように再教育されることがなくなり、時間とともに抗体が低下してしまうようなりました。このため、現在では麻疹、風疹をはじめおたふく、水痘(水ぼうそう)の4種類の生ワクチンは2回接種することになっています。

シンガポールでは、通常1才を過ぎたらこの4種類が一緒になったMMRVワクチンを接種し、3~6ヵ月後に2回目を接種します。日本と比べてまだ麻疹の患者もそれなりにいるので、1才台で2回接種しておくことをお勧めします。昨年末、予防接種などを統括するアメリカ疾病予防センターが、生ワクチンを2回接種しても長期的には抗体が低下するので、3回接種が望ましいという見解を示しました。近い将来3回接種ということになるかもしれませんね。なお、MMRVワクチンを1才台で2回接種してから本帰国した場合、幼稚園の年長(5〜6才)でMRワクチンの追加接種(定期接種)のお知らせが各自治体から来ると思いますが、上記の理由で受けておければより長期にわたって抗体が維持できることになります。その際、シンガポールでは1才台で2回接種するよう決められていたためにすでに2回接種したが、長期的に抗体を維持するために3回目の接種も勧められた、とひとこと添えればスムーズになると思います。

回数で迷うことがあれば、お気軽に担当医までご相談ください。

医師 長澤哲郎