医師コラム

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インターネットの使い方2

前回は、インターネットを見るときには情報の発信元を確認して、信頼できる病院とか学会、医師会や自治体などの公共的な団体のホームページを頼りにするのがいいというお話をしました。今回はその続きです。

必要な知識を得るのにネットで調べても、ネットの情報を判断するためにある程度の知識が必要になるという矛盾を解決するために、発信元をチェックするほかに紙ベースの情報を活用することが挙げられます。時代に逆行するようですが、育児書などは誰でも思いついたらアップできるネットとは異なり、編集者や出版社などの多くのチェックが入っており、いい加減な情報が出にくいと言えます。さらに、出版後も専門家や一般の方からの指摘が定期的に入るので、誤った情報や突拍子もない記述が淘汰されていきます。保健所や役所で入手できるパンプレットや小冊子も専門家の目を通した良質の情報です。紙ベースの情報の最たるものは、母子手帳です。あまりに身近にあるのですべて目を通している方は意外と少ないですが、そこには昔から赤ちゃんを育てていくうえで皆が疑問に思ったり、悩んだりしたことの答えが書いてあります。何十年と改良を加えられてきた、これ以上ない情報の宝庫です。この機会に1度読んでみてはいかがでしょうか?(英語版の方は知り合いの方から日本語版をコピーさせていただくとよいと思います。)

また、最近は親御さんがネットの情報を見て、○○病が心配とか発達障害ではないか、というような受診が目立って増えています。たとえば、小さい子は寝入りばなに手足をびくっとさせることがよくありますが、ネットで「ぴくつき 赤ちゃん」などをキーワードに調べて点頭てんかん(ウェスト症候群)かもしれないと心配で眠れなくなった、という感じです。このように形式的な検索では的外れな結果となることがあるので、どうしても気になる場合は小児科を受診して直接確認することが重要です。

もうひとつ、ネットの情報をチェックするときにそれがいつの情報なのかも注意してください。たとえば、熱性けいれんは日本の子どもに多い疾患ですが、これまで日本では一度でもけいれんを起こしたら発熱時にけいれん止めの座薬で予防をするという方針がとられてきました。しかし、多数例の検討から予防の有無にかかわらず、熱性けいれんなら小学生以降はけいれんを起こさなくなって知能などにも予防の有無が影響しないことがわかりました。このため、2015年に新しい方針(日本小児神経学会:熱性けいれん診療ガイドライン2015)が決まり、特別な事情がないかぎり原則予防はしないことになりました。まだ3年ほどしかたっていないので、発信元がしっかりしているホームページでも古い方針が表示されている可能性があります。したがって、ネット検索をするときには、発信元とともに更新された日時も気をつけてみることが重要です。

このようにインターネットにはたくさんの落とし穴やわなが仕掛けられています。検索する時は「悪意のある人がわざと間違った情報をアップしているかもしれない」と構えるくらいの用心深さが必要です。

医師 長澤 哲郎