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便秘薬のお話

シンガポールのドラッグストアで購入できる便秘薬(内服薬)には大きくラクツロースとセンノシド(センナ)があります。

ラクツロースは液状の薬でボトルで販売されています。大腸で便中の水分を増やし便を柔らかくし、腸内細菌で分解された有機酸が腸を動かす作用があります。日本では肝疾患の治療薬、小児科・婦人科領域の下剤としての使用に限定され、成人の慢性便秘の治療薬としては一般的ではありませんが、シンガポールをはじめ海外では広く使われています。

センノシド(センナ)は錠剤や漢方として販売されており、日本のドラックストアでも手に入れることができます。大腸の動きを刺激する作用があり効果は強力で、必要なときにのみ利用すれば、その有効性が期待できる薬ですが、耐性や習慣性の問題があり長期連用は避けるべきとされています。

一方、日本では便秘の治療薬としてマグネシウム製剤(マグラックス、酸化マグネシウムなど)が広く使われています。これは便を柔らかく膨らまし便意を促がす作用があります。

マグネシウム製剤を飲み始めて便通が安定するまでや、内服中に便通が不安定になったときにはラキソベロン(ピコスルファートナトリウム液)を必要に応じて併用することもあります。このラキソベロン液はセンノシドのような耐性や習慣性を持たないので、万が一長期連用しても問題となりません。

さらに近年、アミティーザやリンゼスといった、小腸に作用して腸の中に水を増やし便を柔らかくする新しいタイプの薬もでてきました。既存の便秘薬で十分な効果が得られなかった方は更なる選択肢となりえるものだと思われます。

便秘で悩む人の多くが市販薬で改善を試みる傾向があり、長期間にわたる自己流の大量服用によって重症化を起こし悪化する方もおられます。近年、便秘治療も新薬の登場で変化してきていますので、便秘でお悩みの方は医師に相談されるとよいでしょう。

医師 佐野 智彦