水ぼうそう – 予防接種

1. 予防する疾患・感染症

水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染により全身性の発疹を呈する感染症です。発疹の特徴は、全身(特に額の髪の生え際や首筋などが特徴的)にやや盛り上がった紅い皮疹が数日かけて続々と出現し、それらが水疱(水ぶくれ)になり、最終的に「かさぶた」ができ、さまざまな段階の発疹が混在する点です。

感染力は非常に強く、麻疹同様、空気感染しますし、直接皮疹(水疱液)部分に触れることでも感染します。特にアトピー性皮膚炎などの皮膚のバリア機能の弱い人では重症化しやすい傾向があります。また、重症な場合は凹んだ痕になり、将来、美容上の問題になることもあります。

かゆみや発熱がある場合とない場合があります。一般的には予後良好ですが、神経親和性のあるウイルスであるため、時に脳髄膜炎を来たすことがあります。また、アスピリンやジクロフェナク投与による「ライ症候群」という重度の脳障害を合併することがあります。一度感染すると水痘ウイルスが体の中に潜み、将来「帯状疱疹(強い痛みを伴う水疱状の発疹)」を引き起こす原因にもなります。これまで1回の予防接種で良いとされていましたが、1回のみでは水ぼうそうにかかってしまう例が多いことが分かり、近年、世界的には1回目の接種から3ヶ月以上あけて2回目を接種することが推奨されています。

日本でも2012年に2歳未満で2回接種を完了するスケジュールとなり、2014年10月からはこれらが定期接種となりました。

シンガポールには、水ぼうそう単独ワクチン以外にMMRV(麻疹(Measles)・おたふくかぜ(Mumps)・風疹(Rubella)・水ぼうそう(Varicella))という4種混合ワクチンがあり、これを用いてMMRも同時に接種する方法があります。

2. 日本 :定期接種 シンガポール:任意接種

3. 接種時期および接種回数

生後12ヶ月から接種。日本では通常12ヶ月と15か月(1回目から3ヶ月以上あけて)。シンガポールではMMRVを用いて、12ヶ月と15ヶ月で接種することが多いです。

4. 接種方法

日本でもシンガポールでも皮下注射

5. 効果の持続期間

1回の接種のみだと約10年と言われています。12ヶ月と15ヶ月の2回でどれくらいの免疫持続効果があるかのデータははっきりしていません。明らかにわかっているのは、1回より2回打った方が確実に感染の予防効果は上がるということです。

6. その他

患者との接触後できるだけ早く、少なくとも72時間以内に水痘ワクチンを緊急接種すること(暴露後接種)により、発症の防止や症状の軽症化が期待できます。
水ぼうそうは、何故か「自然にかかった方が確実な免疫がついて良い」と思われていて、以前は、患者と一緒に過ごす「チキンポックス・パーティー」をする人までいたようですが、これは大きな間違いです。

予防接種により予め体に免疫をつけておいて、その上で本物の水ぼうそうウイルスにかかった方が、(たとえ症状は出なくても体の中では)より沢山の抗体が産生され、確実な免疫を獲得できます。

上述の帯状疱疹の発症を予防する目的で、2016年より日本でも50歳以上の方に乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン®」の接種が承認されました。シンガポールにはZostavax®という製品が存在しますが、当クリニックでは扱っておりません。

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